偶然×フットワーク=新鮮な感動。イスタンブールからの堂々たるシンフォニーを満喫

こんにちは。
剣れいや(つるぎれいや)です。

「びっくりするような偶然」に「フットワーク」を掛け合わせると、これまでにない新鮮な驚きを味わえるんだと知った出来事があったので、ここに書き残しておきます。

思い出話なのでちょっと長いですが、お茶でもしながらどうぞ。

 


偶然のはじまり

 

10月5日の夜、新宿の地下街で、相方の鏡氏と食事をすることになった。

食事を終えて、久々の地下街をブラブラ…

 

この地下街は、コロナ前に来たきり数年ぶりの訪問で、たくさんの知らない店が入っていた。

「入れ替わりが激しいねー」と言いながらいろいろな店を眺め、案内板の前で話をしていると、近くにいた外国人グループの中の一人の女性が、鏡氏に話しかけてきた。

聞いてみると、どうやら改札を探しているらしい。

しかし、彼女が何度も「Central Station」と言っており、それが何を指しているのかさっぱり分からなかった。

「Central Station・・・」中央駅?ってなんだろう?そんな駅は無いんだけどなあ、、、

二人で困っていると、スーツ姿の日本人男性が通りかかった。彼は外国人の女性が話している内容を理解したらしく、

「中央ライン(中央線)のことだね。それならJRだよ」と英語で話し、方角だけ指差してそのまま去っていった。

どうやら外国人の方々は、中央線のことを中央駅だと思っていたようだ。

外国人グループの人たちは、「OK!」「JRラインだね!」と言って、なんの解決もしていない私たちにもお礼を言い、去っていこうとした。

と、ここで鏡氏が「私たちも同じ方向に行くから…!」と英語で伝え、歩きながらそのグループの人たちと会話を始めた。

 

ここから先、両者とも片言の英語。

 

鏡氏:「どこから来たんですか?」

外国人:「トルコだよ」

鏡氏:「えー!トルコ!?私、トルコに行きたいんですよ!」

外国人:「え、まじでー!?」

なんだか意味不明なノリで、ワイワイ盛り上がっていった。

 

歩きながら、私と鏡氏が二人で「Central Station」じゃなくて「JR 中央Line」なんですよ。と伝えると

トルコ人の女性から「Two – O – LIne ってこと?」とジェスチャーつきで聞き返され、「あーそういう意味ではないんです・・」と困った。

正確に伝えるって難しいね〜。

 

4人のグループのうち一人だけ男性の方がいて、その方だけがひととおり英語を話せるようだった。かなりトルコ語まじりで。

鏡氏がその男性に、いつから日本に来ているのか聞いたところ、

「昨日だよ」

と言っていた。

 

そのあとは、トルコ人男性の話に英語とトルコ語が入り混じっていたので聞き取りにくかったのだが、

「明日…」「イスタンブール(トルコの首都)」とか、単語だけ聞き取れた。

 

笛を吹くようなジェスチャーをしていたので、楽器の演奏をしているの人なのか、、、?

鏡氏の話では、「彼女はバイオリンで、僕は…バス〇〇…」というところまでは聞き取れたらしいが、詳細はよく分からなかった。

 

その後、東京メトロ(地下鉄)の改札の前に来たところで、トルコの人たちが「ああここね!」というノリで券売機に向かって行った。

「え?ここ?」と思ったけど、彼らがなんの迷いもなく券を買おうとするのを見て「大丈夫なのかも」とも思った。

でも、いちおう鏡氏と一緒に「ここはJRじゃないですよ?」と伝えた。

 

鏡氏が「何駅に行きたいんですか?」「何て言うホテル?」と聞くと、トルコ人の女性は宿泊先の詳細が書かれた紙を取り出した。

そこには「潮見」の文字。

私が「Shiomi Station?」と聞くと、「Yes!」とのこと。ようやく解決の道が見えた!

さっそくスマホで、潮見駅までの路線を検索してみたところ、確かに新宿駅から地下鉄に乗っても行ける。

しかし、乗り換えが多い…。

日本人でも複雑に感じる、都内の地下鉄の乗り換え。かなりのハードルだろうと思ったので、地上の路線だけで行けるJRをおすすめしようと決めた。

「JR線なら、東京駅で乗り換えるだけで潮見駅まで行けますよ」という意味のことを伝えたくて、スマホの乗り換え図を見せて説明したところ、「Tokyo Station!」と言っていたので、東京駅のことは分かってもらえていたようだ。

東京駅で乗り換えるということは分かっていたけど、何線に乗れば良いかがごちゃごちゃしていたのだろう。

本当に新宿駅は複雑だもんね。。。日本人でも迷うよ。

 

なんとか、トルコのみなさんをJRの改札まで案内。

私は券売機の上の路線図を指差して「このルートですよ」と伝えた。

 

トルコのみなさんは、素早く180円の切符を購入。

…、潮見駅までは320円だ…

私は再び路線図を指差し、この金額(320円)ですよーと。

 

しかし、さすがにここまできたら「駅員さんに任せた方が確実だね」と二人で話し、駅員さんに「トルコの皆さんが潮見駅まで行きたいらしい」という旨を伝えて、別れを告げた。

トルコの皆さんはとても喜んでくれていたから、まあ良かったけど。

 

その後、鏡氏と「あの人たち、観光客っぽくなかったね」という話になった。

確かに、周囲を眺めたり写真を撮ったりするそぶりもなくて、少し堅いというか、緊張感のある感じだったのだ。

「仕事で来ているのかな?」とか話していたが、私は「楽器を演奏している」というのが気になって調べてみた。

 

トルコから来ていて、観光では無さそう。

楽器の話をしていて… 明日がイスタンブール…

 

明日は10月6日だったので、「10月6日、イスタンブール、演奏」などのキーワードで検索してみると「イスタンブール国立交響楽団」がヒットした。

 

もしや…?

アジア オーケストラウィーク2023
10/5 千葉交響楽団
10/6 イスタンブール国立交響楽団
10/7 韓国チェンバー・オーケストラ

これなんじゃないか???

『アジア オーケストラウィーク』は日本で毎年、3日連続で開催されているようで、会場は新宿にある「東京オペラシティ」。

トルコ人の男性が「明日  イスタンブール」って言っていたのは、10月6日のイスタンブール国立交響楽団のコンサート本番のことを指していたのでは?

明日、本番を控えているとしたら、あのトルコの人たちの緊張感も納得できる。

 

しかし私の推測が正しいかどうかを確かめる術は無かった。

でも、そうだと考えると様々な謎の辻褄があう。(笑)

鏡氏も、「そういえばあのトルコ人の人、”シンフォニー”って言ってたよ。あとバス…?バスーン」と。
私も”バス”という言葉は聞き取れたので、バスクラリネットかな?とか思っていたが、バスーンなのかもしれない。

アジア オーケストラウィーク2023は、新宿の「東京オペラシティ」で開催…か…。

「新宿なら行けるね」
「どうしようか」
「行く人生と、行かない人生、どっちが面白い?」
「そりゃあ、行く人生でしょ」


偶然にも、私の翌日の予定が空いていたので、鏡氏と一緒に急遽コンサートに行ってみることに…!

クラシックを聴きに行くのは、数年前のフジ子・ヘミングのリサイタル以来だ。

いつもより少しだけフォーマル気味なファッションで出掛けた。

偶然×フットワーク=新鮮な感動

アジア オーケストラウィークというのは文化庁が主催する企画の一環らしく、コンサートチケットも驚くほどリーズナブルだった。

新宿オペラシティのコンサートホールは、音のためにすべてを集約して創られた空間で、不思議と神聖な雰囲気が漂う。

中央にはパイプオルガン。

東京オペラシティ コンサートホール(公式サイト)

ホール内は撮影禁止だったので、公式サイトからの写真を。

 

 

開演時間となり、ついに奏者の方々が入場する。

「昨日出会ったトルコの人たち、居るだろうか?」と思ったら…

 

やっぱり居た!

 

本当に、この交響楽団の人たちだったんだ…

 

 

でですね、

 

イスタンブール国立交響楽団。

すごかった。

 

音の一体感と迫力。ダイナミクス。

繊細で、かつ力強い。

 

そして、なんと言っても、指揮者のギュレル・アイカル氏の温かい人柄!?

指揮者の方って、厳格でピリピリっとしているタイプの方も多いけど、ギュレルさんはアットホーム?というか、すごい人間くさい(笑)。

 

指揮者ギュレル・アイカル氏は、観客の割れるような拍手喝采を受け取りはすれど、

「っていうか、このメンバーがすごいんだよ」とジェスチャーでオーケストラのメンバーを称賛したり、

 

「この曲を書いた人がすごいんだよ」

と楽譜を掲げてみせたりしてくるもんだから、会場からも笑いが起きる。

 

いやいや冗談抜きで、指揮者はオーケストラにおいて、めちゃくちゃ重要で責任重大で、すごいポジションだと言うのに・・・

なんて謙虚で、茶目っ気のあふれる人なんだ!

 

さらに、ギュレル・アイカル氏はアンコールの際、原稿を読みながらカタコトの日本語で解説してくれた。
途中、「Understand?」とジョークを入れながら(笑)

 

そして、このオーケストラにおける重要人物、バイオリンのソリストであるチハト・アスキン氏は、堂々たる力強い演奏。

オーケストラの中にいてもまさに独奏って感じで、調和よりも個性が際立つ。

有無を言わさぬ貫禄と威厳。

アンサンブルよりソロだなあ、この人は〜と思っていたら、完全にソロで「さくらさくら」を演奏してくれた。

しかも、アレンジ付き。

 

最初はピチカート奏法で、日本のお琴のような音色で。

そのあとは流れるような優雅な旋律で。

最後は斬新かつ、きらびやかなアレンジで…。

 

この日のために練習しアレンジしてくれたのだろうか。

日本への愛が感じられて感動した。

 

オーケストラも、日本人作曲家『芥川寸也志』(あくたがわ やすし ※ 芥川龍之介の御子息)の交響曲や、弦楽器だけの編成時には完全にピチカート(弦を弾く奏法)だけの曲があったり。

私がクラシック界に疎いのかもしれないけど、本当に様々な音の世界を垣間見ることができて驚いた!すばらしかった。

しかし、私が最も感動したのは、最後に演奏された、トルコの伝統的な民族音楽を交響曲にアレンジした曲だった。

トルコの軍楽であるメフテルを思わせるような、エネルギッシュで堂々たるシンフォニー。

 

「演奏家に宿る魂というものは、明確に音に影響するのだ」と強く感じた。

きっと、日本人の交響楽団だったら、同じ譜面を演奏しても違う響きになっているだろう。

 

今や、AIが譜面を音に変換して演奏できてしまう時代。

でも、AIにはこの演奏はできないだろうと思う。

 

AIは、「感情のようなもの」を真似ることはできるかもしれないけど、

魂は模倣できないと、私は思う。

 

人間は生身だ。

うつろいやすく、

繊細で、もろく、

 

執念深くもあり

誘惑に目が眩み

揺らぎ、

挫折し

絶望し

復活し

悟る。

 

なんか、そんな

どうしようもないのが

人間なんだろうと思う。

 

だから、それでいい。

いや、それがいい。

 

これが人間だよなあ。

 

めちゃくちゃ揺らぐからこそ、乗り越えた時にすごいんだ。

 

私はしょっちゅうグダグダになったり

つまづいたりして凹むけど、

 

自分が人間であること、

それが大事なんだよなあ、と。

 

ぜんぶ、おおらかに受け入れていきたい。

 

そんな神妙な感慨にふける。

 

イスタンブールからのシンフォニーを満喫した夜。

 

コンサートの終わりに、鏡氏は彼らに挨拶をしたがっていのだが結局その後は出会えず、残念がっていた。

でも、私は平気だった。

縁があれば、きっといつかどこかで出会えるもんだと、なんとなく思うのだ。

 

それにしても、偶然って、不思議だなあ。

 

 

 

 

剣れいや

 

 

 

「偶然×フットワーク=新鮮な感動。イスタンブールからの堂々たるシンフォニーを満喫」へのコメント

コメントはありません

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です