「アーティストとして、どんな家が欲しいですか?」
それは、生まれて初めての質問だった。
先日、ある方からの紹介で不動産業の方にお会いしてきたのだが、その方は、アートと建築や不動産を組み合わせて新しい価値を生み出そうと活動されている方だった。
緑豊かな山の中の町起こしの一環として、アーティストにとって暮らしやすい街をつくろうと尽力されている。
現在、様々なアーティストに「どんな家が理想なのか」を聞いて回り、大工さんに掛け合って「こういうの出来ますか?」と相談しているのだそうだ。
「アーティストとして、どんな家が欲しいですか?」
そう質問されたので、私はアーティストとしてコラボしている舞踏家の鏡ざゆらと一緒に考えまくった。
この質問に対して、これほど考えてしまうということは
住居に関して「現状の中でどうするか?」という現状基準的発想になっていたんだなと気づく。
しらずしらずのうちに、現状に自分を合わせてしまっていたんだな。
私は、舞台上でライブペイントをしたり、路上でボディペイントをするが、家では主に絵を描く。
使う塗料の中には、油性で臭いのきつい塗料もあるので、乾くまではかなり臭うし、ものによっては乾かすのに1週間くらいかかるものもある。
今は臭うときはベランダで乾かしているけど、部屋の延長に半屋外のアトリエがあったらいい。
サンルームのような感じでもいい。とにかく半分外がいいのだ。
あとは、オブジェを作り始めると部屋に作品を置く場所がなくなっていくので、壁全体に可動式の棚が欲しい!
考え始めるとどんどん欲が出てくる。(本当はツリーハウスみたいなのが理想だったりする)
私があーでもないこーでもないと案を出していくと、その方は手帳にがしがしメモしていらっしゃる。
私は創作のインスピレーションを主に自然界から得ているので
家の中から空が見えるような解放的な空間が理想で、庭にはメダカが泳ぐビオトープも欲しいと伝えた。
続いて鏡ざゆら氏が理想の部屋を語りはじめた。
鏡ざゆら氏は舞踏家なので、いつでも踊れるように居住空間から続きでそのままスタジオになっている空間が欲しいと言う。
そして、カメラで撮影した時に全体が写るようにするために奥行きのある構造が理想らしく、間取り的には長方形の部屋を希望していた。
床は木だとメンテナンスが大変なのでリノリウムがいいとのこと。
踊り手にとって理想の部屋というのは想像もつかなかったので、意外で面白かった。
今回お話しを聞いてくださった不動産業の方は元々現代アートが好きな方で、家業の不動産業を継ぐにあたってどうせなら自分にしかできないことをやろうと思い、アートと不動産を組み合わせた新しい価値を生み出すことを考えているとのこと。
モデルルームの家具やインテリア、アートなどを、地元の職人さんやアーティストの方が作ったものにして、家と一緒に買えるようにしたりと、新しくて面白い試みをされている。
その後、動画で私たちの舞台の観ていただいたりと、とても楽しく充実した時間を過ごせた。
「現在は軒並みコロナで中止になっているけれど、今後アートイベントも企画するので、ぜひ出演してほしい」と言っていただけた。
もちろん喜んで参加させていただきます。
またひとつ、活動の励みができてとても嬉しい。
「理想」を「考え始める」ところからのスタート。
それを実現してくれる人が現れた!条件が揃った!というときに
「これこれこういうものをお願いします」
と言えるならば、話はどんどん理想の方向へ進んでいくのだと思う。
チャンスがきた時に飛躍するには、チャンスがくる前から準備していることが大切なんだな。とつくづく感じた。
そして、ほんとうに痛感したのは
何も意識していなければ「今の状況」を前提に考えてしまい、現状維持のままになってしまう。ということ。
現状維持ガチガチの脳になっていると、いざチャンスがきた時に怖くて動けなくなるのだ。
臨場感が無さすぎるからだ。
臨場感がないと、人は本能的に恐怖を感じ、動けなくなる。
でも、自分が怖がっているなんてカッコ悪いので、認めたくない。
だから動かなくていい理由を量産して動かない自分を正当化してしまう。
上記のメカニズムは、ぜんぶ無意識にやってしまうってところが怖ろしい。
だから私は、たとえ周囲から馬鹿にされようと、呆れられようと、夢はしっかり描いた方がいいと思っている。
万が一、周りが非協力的なドリームキラーばかりなら、夢を口に出さなければいいだけのこと。
夢はしっかり描いておいて、時が来るまで大切にあたためる。
そして、夢を原動力に行動しつづける。
とにかく行動。
一に行動、二に行動。
たとえ何年かかっても、あきらめない。
そうすれば、いつか必ず、同じ志で共鳴する人に出会えるんだ。
今回のご縁で、それを心の底から実感できた。
それにしても今回一番考えさせられたのは
「自分にとって本当に大切なのものは何なのか?」ということだった。
「自分にとって本当に大切なのものは何なのか?」を吟味し、厳選していくというのは、普段から意識していないとできないことだと思う。
普段からどんなことで感化されているのか?自分がどんなことに幸せを感じるのか?それを知るためには、あるていど自分を客観視してみないと難しい。
時代が変わって、これまで以上に自分の内面を観察し、自分を知ることが大切な時代になっていくと思う。
自分にとっていちばん大切なものを見失わないように、手を離さないように。
これからも夢を描きながら進んで行こう。
剣れいや
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