舞踏〜Butoh〜と内面の葛藤

生まれて初めて、舞踏〜Butoh〜を経験しました。

その時の感覚を、ことばにしてみました。

 

 


舞踏〜Butoh〜と内面の葛藤

 

真夏の空の下

すでにカメラは回っていた。

 

 

何も考えなかった。

 

 

時間が止まった。

 

 

 

体に訊いていた。

一瞬一瞬、体に訊いていた。

 

 

 

手は

上に、外に、のびようとした。

 

 

足は、地面に根を生やそうとした。

 

胴体は、ただそこにあった。

 

 

 

 

あたまは、消えた。

首は、あたまを探していた。

 

 

視線は、たましいを追いかけていた。

 

 

たましいは、私から逃げようとした。

 

私は そのたましいを 追いかけた。

 

 

追いかけて

全身に力がこもっていた。

 

 

背中は、たましいが帰ってきてくれるように願っていた。

 

 

指先は、たましいを優しくつかもうとしていた。

 

 

ひざは、居心地がわるかった。

 

 

足先は、石ころとケンカをしていた。

 

呼吸は、ひそんでいた。

 

唇は、たましいを呼ぼうとしていた。

 

心臓は、しずかだった。

 

お腹には、葛藤がつまっていた。

 

 

カメラは、ただ見ていた。

 

 

空は、好きなように動いている。

風は、空とつながろうとする。

 

 

大地は、困っている。

取り残されている。

 

 

 

 

踊っているうちに

 

体のあらゆる気持ちは

 

 

空と風と同じように

好きなように動いていた。

 

 

 

 

 

あたまの中の焦りだけが

とりのこされていた。

 

 

カメラは、ただ回っていた。

 

 

踊り終えたとき

 

体の時間が終わった。

 

あたまと日常の時間にもどった。

 

 

残ったのは、体の記憶。

 

とりのこされたものは

大地に置いてきた焦り。

 

 

 

踊り終えて、

まるで違う場処から帰ってきたような、不可解な気分だった。

 

 

でも、焦りは無くなっていた。

 

 

大地が 預かってくれたから。

 

 

 

 

 

【動画】
鏡ざゆら&剣れいや舞踏DUO『皆既日食』

 

 

剣れいや

 

 

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