こんにちは。
剣れいや(つるぎれいや)です。
この連載では、私がソウルメイトと出会った経緯と、その後の人生をお伝えしていきます。
私にとってソウルメイトと出会うことはゴールではなく、本当の自分として生きるための新しい人生のスタートでした。そして、自分と徹底的に向き合うための試練のようなものでした。
私の20代前半のころのお話です。
第1章
【第1話】不思議な夢
2度目の受験で合格した私は、もうこれまでの惰性の恋愛は嫌だと感じ、新しい学生生活に新しい出逢いがあればいいと思っていた。
しかし学生生活は思ったようには充実しなかった。
この頃の私は、自分が怖かった。
ひとり部屋にいると突発的に号泣したくなった。
そして、自分がなぜ泣いているのか、何が悲しいのかも全くわからず、私はとうとうおかしくなったのかもしれないと感じていた。
私は、精神的に自分が限界にきていることを悟っていた。
そんな中、すがるように、夢日記をつけていた。
目が覚めた瞬間に、夢をノートに書き記すのだ。
まだ暗いうちに夢から目覚めることもあったが、明かりをつけると思考が働いてしまうので、真っ暗で手元が見えなくても、覚えているうちに書きなぐるように残していった。
その年の4月だった。
私は、これまでに見たことのないくらい鮮明な夢を見た。
その夢は、脳裏にこびりつくくらいの衝撃を私に刻み込んだ。
ここまで強い印象の夢は見たことがなかったので、私は半ば呆然としながらそれを書き記した。
~~~~~~ 以下、夢の内容 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
私は、山間の道を歩いていた。
両側に、ゆるやかな小山がつづいている。
私の生まれ故郷の田舎に似た景色だが、時代はもっと昔のようだ。
舗装されていない田んぼの中の細いあぜ道が、一本だけつづいている。
季節は秋のようで、田んぼに水はなかった。
明るくおだやかな気候だが、青空ではなかった。
私は、私と同じような年代のひとたちの列にならんで、誰かに先導され、細い一本道を歩いていた。
私は、囚人だったようだ。
ふと、左側の山の斜面に、気配を感じた。
山の斜面の雑木林のような細い木立の向こう側を、木々を縫うように、何かが飛ぶようなスピードで走っている。
私たちと同じ方向に向かっている。
真っ黒でつややかな毛並みをした、キツネ。
瞬間的に思った。
「あの人だ」
私を追ってきたのだ。
私は凍りついた。
キツネはタブーだった。
この世界では、タブーに触れたら
殺される。
私は、もうどうしようもない思いで、そちらを見ないように歩いていたが
黒いキツネはもう、私の足元までやってきて、私と並んで歩いていた。
黒いキツネは目で語っていた。
「どうして行ってしまうの?」と。
その瞬間、私は立ち止まった。
そして、共に歩いていた人に言った。
「私は、殺されてもいい」
そう言って、私はキツネを抱きしめた。
・・・・・・・
場面が変わった。
私は、明かりのついた20畳くらいの部屋の中にいた。
高い位置に、横長の窓がひとつあるだけだ。
たくさんの女性が、そこにいた。
囚われているようだった。
その中の一人が、パニックになった。
取り乱して泣きながら、高い位置によじのぼり、窓を開けて外に出ようとした。
窓の外は暗くて、銃弾が飛び交っていた。
「出たら殺される!」
私は、他の人と一緒になって彼女を引きずり下ろし
彼女を抱きしめて泣いた。
・・・・・・・
また場面が変わった。
私は、どこかの大きな屋敷に潜入したようだった。
時代劇に出てくるような、木造の大きな屋敷。
私はその中庭を、突っ切るように走っていた。
とそのとき、回廊に見回りの男性が歩いてくるのが見えて、気づかれそうになった私はその場にうつぶせに倒れて身を隠した。
その男性は立ち止まってあたりを見回していたが
「特に異変はない」と言ってそのまま立ち去った。
私は、その屋敷のなかの
とある部屋に忍び込んだ。
そこは畳敷きの暗い部屋だった。
畳の上には、白い小さな紙に黒い筆文字で書かれたものがたくさん並んでいた。
「犬」
「キツネ」
「2」「3」「5」「6」「8」「9」「15」「22」・・・
など、たくさんあってとても覚えきれない。
タブーの数字だ。
その場にいた、もう一人の人が
そのなかの一枚の紙を持ち去ろうとした。
「見つかるわけないぜ、こんなの」
すると急に、紙を持ったその人の身体が宙に浮き上がり、仰向けの状態でものすごいスピードでどこかに連れ去られた。
その人は、ある部屋に連れて行かれた。
その後、四天王が7人も現れ、そこで最後の審判がくだされるようだ。
「あの人は殺される」
私は直感的にそう思った。
急がなければ・・・。
もう時間がなかった。
・
・
・
・・・・・・・
場面が変わった。
私は、山間の道のバス停で、バスを待っているところだった。
親切な狩人のおじさんが、私と黒いキツネを山小屋にかくまってくれていた。
おじさんは
「もうすぐ来る」と言っていた。
私は、黒いキツネに対してそっけない態度になってしまっていたので
黒いキツネは、落ち着かなそうにそわそわしていた。
黒いキツネはついに人間の姿になって、土間の縁側に腰掛けていた。
黒髪の、着物姿だった。
バスが来た。
私たちはバスに乗り込み、並んで座った。
私はこれまで感じたことのないくらいの満足感を感じていた。
黒いキツネの人は、私の目を見て聞いてきた。
「僕のこと、好き?」
私は、
「大好き」
と言った。
黒いキツネの人はつづけて言った。
「僕が、男でも女でも?」
私は、そこだけセリフがテロップになり、♂と♀のマークまで出たのが気になったが、私は黒いキツネの人が男でも女でも関係ないと思った。存在が好きなのだ。
私は、
「うん」
と言った。
黒いキツネの存在と一緒にいるだけで、心が澄み渡っていくようだった。
私はその時、今付き合っている人と別れることを決めていた。
~~~~~~以上、夢の内容 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
この夢を見て、私は他のことを何も考えられなくなった。
学校に行っても上の空で、三日三晩、そのことが頭から離れなくなった。
「黒いキツネは、必ず居る」
私は、そう自分の胸に刻んだ。
しかし、しばらくするとまた意識は日常にもどっていき、黒いキツネのことを考えることもなくなっていった。
次回につづく
【第2話】怒りと行動とシンクロ『黒いキツネが導いたソウルメイトとの出逢い』
剣れいや
「【第1話】不思議な夢『黒いキツネが導いたソウルメイトとの出逢い』」への 1 件のコメント
とってもリアルです。
黒い狐の描写が美しいし、心理描写も切迫感が。。。切羽詰った夢ですね。
続くが楽しみです。