フジコ・ヘミングの時間【映画】を観て思い出したこと。

こんにちは。
剣れいや(つるぎれいや)です。

 

ずっと気になっていたドキュメンタリー映画『フジコ・ヘミングの時間』を、先日やっと映画館で観ることができました。

実はこの映画を数ヶ月前に予告編で知ってから、千葉県舞浜の「シネマイクスピアリで観よう!」と思っていたのですが、バタバタしているうちにいつのまにか関東での興行が終わっていたのです・・・

 

「あー行っておけばよかった!」と残念に思っていたのですが、最近なんとなく検索したら、神奈川県の川崎市アートセンターという場所でやっているではないですか!

ありがとう直感!!

 

というわけで、急いで行ってきました。

フジコ・ヘミングは、60代後半でデビューし、今も80代で世界中を飛びまわり公演をつづけるピアニスト。

夢をあきらめない派のブログを運営している私にとって、胸の熱くなるような人生を送られている方です。

 

私は、奏者(プレイヤー)という類の方に、並々ならぬ敬意を持っています。おそらく私自身がプレイヤー向きでないから、憧れのような感情があるのだと思います。

 

ちなみに、私がピアニストのすごさを思い知ったのは、20代前半。
写真を専攻していた学生時代のことでした。

当時、私は卒業制作で写真をスライドショー形式で流し、BGMにショパンの「前奏曲 “雨だれ” Op.28-15」という曲を使うことにしたのでした。

 

ところが、制作も佳境に入ってきて何日も徹夜がつづき、ようやく曲を入れる段階になったときに、あろうことかそのCDを紛失してしまったのです。

私は急いでCDを買いに行きましたが(MP3でのダウンロード販売が一般的になる前の時代でした!)同じピアニストのアルバムがみつからなかったので、仕方なく別のピアニストのCDを買いました。

ところが、家に帰ってそのアルバムの中のショパンの「雨だれ」を聴いて、愕然としたのです・・・

「なんだこれ・・・完全に別物だ・・・・!!!」

私がスライドショーに合わせようとしたピアニストの演奏曲とはまったく印象が違っていたのです。

 

私が最初に聴いて感銘を受けたのは、ピアニストのスタニスラフ・ブーニン(Stanislav Bunin)が演奏した「雨だれ」でした。

 

「同じ譜面で弾いていても、ピアニストによって曲は別物になるんだ・・」頭では知っていたつもりでしたが、そのとき改めて、心のそこから痛感したのでした。

 

結局BGMとしては、代わりに買ってきたCDの「雨だれ」にどうしても納得いかなかったので、その後探し回ってスタニスラフ・ブーニンのCDを買い直し、最初にいいと思った「雨だれ」を使いました。

 

私は譜面がめちゃくちゃ苦手なので、譜面を読んでさらに自分の表現に仕上げていく「奏者」の方に尊敬の念を感じます。

 

「譜面の通りじゃなく、歌うように弾きたかった。だからいつも母と衝突した」by フジコ・ヘミング

 

フジコ・ヘミングの母親は、フジコをピアノ教師にするために英才教育を行なったらしいのですが、フジコは譜面通りに弾くことに価値を見出せなかったと言います。

 

父親が外国人だったこともあり、戦後の日本の学校では、フジコと彼女の弟は常に嫌がらせを受けていたようです。

 

人と違うというだけで、受け入れてもらえない。

 

枠にはまれない。

はまりたくない。

 

でも、枠からはみ出すなと社会は言う。

 

自分の魂からの声を聴きとどけ、貫くのか。

衝突を避けて、社会の声に自分を合わせるのか?

 

多くの人は、そこに葛藤を覚えるのだと思います。

 

フジコ・ヘミングは、60代後半でデビューした演奏家。

それまでは、経済的に苦しい時期が長かったと言いますが、それでも、絶対にあきらめず、決してブレずにピアノを愛し続けた彼女の生き方。

ドキュメンタリー映画の中のパリの街並みが本当に美しく、フジコさんが1年の半分を過ごすアパートも、世界中から集めたこだわりの家具や小物で彩られ素敵な世界観でした。

思わずパリに行きたくなってしまい、そして何よりフジコ・ヘミングのリサイタルに行きたいと感じました。人生をかけて紡ぎ出す彼女の演奏を肌身で感じてみたい。そう強く思いました。

 

全力で妥協なく夢に生きるとは、どういうことなのか?

またひとつ、私の中に焼けたような熱い石が投じられたのでした。

映画の冒頭に、こんな言葉があったと記憶しています。

 

人生とは、自分自身を愛することを取り戻す旅

 

私も、私なりに、

この人生という旅を歩みながら、

自分自身を愛することを学んでいきたいと思います。

 

 

剣れいや

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