戦士であっても、愛する人と向き合う時は剣を置かなければならない

戦士であっても、愛する人と抱き合う時は剣を置かなければならない

 

 

 

手に剣を持った戦士。

 

その剣は、

最初は、自分を守るために携えたものだった。

そしてあるとき、愛する人を守るためのものになった。

 

 

ある日

気づいた。

自分の中の弱さに。

 

 

今のままでは、愛する人を守れない。

 

 

強くなければ、

優しさは、弱さに転じる。

なんとしてでも、強さを手に入れたい。

 

 

 

戦い続ける戦士。

愛する人を守るため。

そして、自分を守るため。

 

しかし、時は流れ

戦いに明け暮れた戦士は

いつのまにか戦い続けることが目的になっていた。

 

戦いに夢中になる戦士を見て

恋人は悲しんだ。

戦士の目に、自分は映っていないと感じた。

 

 

戦士は、恋人の心が離れていくのを感じつつも

その理由が分からない。

いつのまにか、関係は冷え切った。

 

 

 

戦士はとうとう、疲れ果ててしまった。

 

 

ずっと握りしめている

冷たい剣に

じわじわと体温は奪われていく。

 

 

視界に入る者、すべてが敵にみえる。

愛する人の心すら理解できない。

 

 

とうとう誰のことも

信じられなくなった。

 

 

何のために、戦うの?

心のどこかで声がする。

 

 

 

深いところでは

離れたくないと知っている

なのに

 

抱き合う時にさえ

心を許せない

 

 

何年も、そんな日々が続いている。

 

 

気づいているだろうか

置き去りになった心に。

 

 

戦士は、戦いつづける意味が分からなくなっているのに

混乱したまま、戦うことをやめられない。

 

 

愛する人を目の前にしても

剣を置くことができずにいる。

 

 

剣を置くことが

 

怖い。

 

 

 

 

でも、想像してみてほしい。

 

剣をかまえ、目の前に立ちはだかる人に

いったいどうやって心を開けるのだろう

 

 

 

 

 

 

 

戦士へ。

 

気づいてほしい。

 

もう戦わなくていいのだということに。

 

 

 

 

 

 

気づいてほしい。

 

 

あなたが弱さだと思っていた

自分の中のやわらかいものは

 

 

「優しさ」に変わっているということに。

 

 

 

強くなければ、本当の優しさを持つことはできない。

 

 

それを知ったあの日から

 

あなたは戦いつづけた。

 

 

 

 

でも、気づいてほしいんだ。

 

 

もう十分、あなたが強くなっているということに。

 

 

 

 

心を忘れ去って空洞になった身体が

剣を使うためだけに造られたマシンのように

いつのまにか愛する人と自分を傷つけている。

 

 

その事実に、気づいてほしい。

 

 

 

その剣は、

 

これまで、誰かを攻撃するためにあったかもしれない。

 

 

しかし

 

 

その剣は、

 

苦しみと混乱の糸を断ち切り、

愛する人と自分を解放するために

使うこともできるのだ。

 

 

 

あなたの剣を、何のために使うのか。

 

それはあなたが決めることだ。

 

 

ただ

 

これまでとは違う選択肢もあるのだということを

 

知ってほしい。

 

 

 

 

 

剣れいや(つるぎれいや)

 

 

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